6/8 #06「男、腐敗するとき」
「腐っても、俺は男だと思いました」
共同の風呂場で、声を反響させながら笠井は言う。
いきなり何を言い出すのかと思えば、そのまま浴槽に頭まで潜ってしまう。
「どしたの、笠井」
「さあー?」
浴槽の淵に両手を乗せて、体を洗う三上に聞けば首を横に振られる。なんだよ。お前らって結構ツーカーじゃん。つか、似たもの同士。
藤代とか渋沢とかいう変わった同室を持っちゃった同士じゃん。
そんなことを思っていたら、笠井が空気を取り入れるために浮上してきた。
「三上先輩は関係ないですよー。だって、中西先輩のことですもん」
「はあ?何?俺って腐ってんの?」
「腐ってると思ってたって言った方がいいですか?」
いや、どっちも失礼です。アナタ。
「だって、先輩ってば根岸先輩とべったりだから、きっとそうなんじゃないかなーとか勘繰ってたんですけどー」
「ヤメテ!ネギっ子とそんな勘繰りしないでえー!」
おぞましい!俺とネギはそんなフシダラな関係じゃなくてよ!
「うん、だから。腐っても男だと、今日思ったんです」
「意味わかんないよ」
「だから、先輩。彼女できたんですよね?」
「きゃあーー!どこからそんな話が!?秀二ハズカシー!」
ちょっとおどけてみたら、笠井共々に三上から熱いシャワーの湯をぶっかけられた。
「やめようねー、その話。俺、その話されっと、お前ら殺せる」
「ちょっ!先輩!?幾らなんでもバイオレンス!」
笠井はまだ抗議をしようとしてるけど、俺は両手で笠井の口を塞いだ。
シャワーの蛇口に手を添えたままの姿が怖い。本気で殺っちゃいそうな目が嫌。だから、勘違いしてる笠井にゲロった。
「それ、三上の彼女でね、俺の子じゃないの。でも、俺ノーマルよ?」
ちょっと、いいなーなんて思ってたけど。そこは笠井にも三上にも言わないオフレコだけど。

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取り敢えず、風呂場が書きたかっただけです。


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